
安野モヨコとは
1990年代から活躍する女性漫画家で、「働きマン」「さくらん」「シュガシュガルーン」など映像化されている作品も少なくありません。
「ヘルター・スケルター」の作者である岡崎京子のアシスタント経験があり、私の中では90年代のオシャレでアバンギャルドな女性漫画家というイメージ。
ちなみにエヴァンゲリオンの監督である庵野秀明の奥さんです。監督との結婚生活をコミカルに描いた監督不行届はエヴァンゲリオンを全く知らない私でも面白く読めたのでおすすめです!
ハッピーマニアとは
1995年から2001年までFEEL YOUNGで連載されていた安野モヨコによる作品。1998年には稲森いずみ主演でドラマ化されています。
結構前の作品ですけど、当時のおしゃれな雰囲気や絵が素敵だし、何よりストーリーや登場人物が嫌にリアルで現実的で引き込まれてしまう漫画なんです!
主な登場人物
重田加代子
「彼氏が欲しい」が口癖の、恋の暴走機関車と言われる主人公シゲタカヨコ。その名の通り、理想の彼氏が見つかると自分の外見や生活スタイルを変えてでも手に入れたいと突っ走る猪突猛進系女子。
フクちゃん
暴走するカヨコの相方であり互いの恋愛事情を赤裸々にさらけ出す仲であるフクちゃん。カヨコに対して厳しい口調でとがめる台詞は読者にもグサッとささるものがあります。それについて作者いわく
シゲタさんって……割とぼんやりした人間というか無自覚な人なので、切れ味が鋭くて一瞬で覚えられるようなフレーズじゃないと、入っていかないんです(笑)。普通は言われたら「ええっ?」ってなるぐらいのことじゃないと、堪えないんですよ。だから必然的にフクちゃんのセリフがキツくなってしまうんです。
ということで鈍感で何となく生きている女性全員に響く台詞が多いです。
タカハシ
同じバイト仲間だったカヨコに片思いする(当時)エリート東大生タカハシ。恋愛経験が乏しいゆえに思い込みが激しめなのに男気と行動力が凄まじく現実には絶対いない人間。恋に迷走するカヨコを見守りながらずっと思いを寄せています。
メンヘラの聖書
なぜメンヘラの聖書なのか。
なぜならメンヘラの私がすごく共感できるから。
カヨコは端から見たら奔放なダメ人間だと思うんですけど読むにつれて、カヨコの考え方や台詞に共感したりフクちゃんの厳しい指摘も今の自分にグサリと刺さってしまう。
すぐヤッちゃう
好きになったらとことんのカヨコは恋が始まった瞬間に暴走。初期の頃は「性病大丈夫?」と思うくらい。
盲目ゆえにダメな相手だと分かっていても自らいばらの道に突き進んで傷ついてる。ここらへんメンヘラあるあるだと思う。
相手の男もクソ
カヨコが好きになったりノリでそういう事をしちゃう相手も大概クソ男。
↑ネタバレになってしまいますがカヨコの恋愛遍歴がまとめられています。彼女持ち、遊び人、既婚者、彼女持ち、体目当て、、、
カヨコに理性や見る目がないせいでもあるんですが、相手もクズで読んでいてイライラするし、実際カヨコと同じ立場になったことがあるシーンだともう自分が嫌になって気持ちが重くなる。
漫画で現実逃避ができないというか漫画が現実を突きつけてくる感じ。
カヨコのセリフに共感
カヨコの恋愛観はメンヘラ女子に共通するものがあって読んでいて「分かる~!」と思う箇所がチラホラある。
これなんてまさに!って感じ。
私のこと好きになる男ってバカじゃないの?見る目ある?アホ?って思ってしまう。ゆえに(色んな意味で)頭のよさそうなシュッとした人を好きになるんだけど、そういう人は絶対私を好きにならない。ジレンマ。
私も聞きたい。なんで私に彼氏できないの?
そこそこ可愛いと言われてきた人生で、知らない女子から「ずっと可愛いと思ってた」とか突然言われたこともあるし、飲み会ではわりと男子に囲まれる(そして徐々に消え失せる)。なんで彼氏できないの?メンヘラだから?
反面教師としての漫画
作者の安野モヨコも「ハッピーマニア」については反面教師的な漫画と言っていて、こんなことしたらこうなっちゃうんだよという事を意味を持っているそうです。
「恋がしたい」「死ぬほど人から愛されたい」そんなメンヘラ女子に対して警鐘を鳴らしているような、「いい人いた!」と思ったらまず読み返しておきたいそんな漫画です。
続編あります
いま続編がFEEL YOUNGで絶賛連載中でアラフィフになったカヨコの今がすごくリアルで慄いているところ。
続ハッピーマニアのためだけにフィーヤンを読んでいるとっても過言ではないくらいドはまりしていて、文才と時間があれば毎月レビューや感想を書きたいと思っているくらいなので是非みなさんも読んでみてください~~!!
怖いことに
連載当初24歳だったカヨコと今の私はほぼ同年齢で、カヨコの恋愛遍歴を見て「あれ?一緒じゃない?」となっているのが嫌…
そして困ったことに私にはフクちゃんもタカハシもいない…天涯孤独。孤立無援。
カヨコ化から脱したい今日この頃。
おわり